
「最近、なんとなく体がダルくて重い…」「季節の変わり目、いつもなにかしら不調…」
そんな経験、ありませんか?
こんにちは!大人気アニメ『薬屋のひとりごと』に絶賛ドはまり中のマ-です。
『薬屋のひとりごと』では、漢方や生薬にまつわるエピソードが描かれ、話題になっていますよね。
実は、今回ご紹介する陰陽五行説は、そうした物語の背景にある思想の一つでもあるんですよ!
筆者紹介
🌶️スパイス&ハーブ検定1級ホルダー
🍺レストラン&バーで修行して15年!
☯手の平で回してツボを刺激する「健身球」って球を買ったんですけど…全然うまく回りません。
わたしは15年間、レストランやバーのカウンター越しに、お客さんの顔色や体調の変化をジーッと見続けてきました。(職業病ですね…!)
そして、確信していることがあります。
わたしたちの身近にある「スパイス」は、ただの「香りづけ」と思われがち…ですが、実はぜんぜん違うんです。
古来、漢方の知恵と組み合わさって、人々の暮らしに寄り添ってきた「食べる漢方」という考え方があるんですよ!
漢方薬局さんの解説記事は、体の中の仕組みをしっかり教えてくれます。
…でも、「元になる陰陽五行説って、結局どういう考え方なの?」というところまでは、なかなか説明されていませんよね。
そこで今回は、キッチンで楽しみながら活用できるスタイルに分かりやすく翻訳していきます!
この記事を読めばワカル!
☯「なんとなく不調」の背景にある考え方が分かる
陰陽五行説という東洋思想のレンズを通して、体調の波を捉える伝統的な考え方を学べます。
☯キッチンが小さな"陰陽五行ラボ"に
特別な道具は不要。いつものスパイスをひとつまみ、その意味を知りながら楽しめるようになります。
☯一生モノの"教養"が身につく
一過性の流行りではない、何千年も語り継がれてきた陰陽五行の知恵を、自分の言葉で語れるようになります。
陰陽五行説ってなに?漢方のルーツにある2つの考え方

まずはこの『2つのメガネ』を手に入れましょう。これだけで自分の身体の見え方が変わります!
陰陽五行説は、もともと別々に生まれた「陰陽思想」と「五行思想」がドッキングしてできた、中国古代の哲学です。
漢方薬もこの陰陽五行説を土台にして発達してきた歴史があります。
分解するとシンプルなので安心してください!
陰陽思想——世界は「陰」と「陽」の2つでできている
陰陽思想は、あらゆるものを「陰」と「陽」というペアの性質で捉える考え方です。
| 性質・状態 | 陽(よう) | 陰(いん) |
| イメージ | 動的(アクティブ) | 静的(リラックス) |
| 温度感 | 温かい・熱い | 冷たい・冷える |
| 向かう方向 | 上へ向かう | 下へ向かう |
| 時間帯 | 昼間 | 夜間 |
| 体調のサイン | のぼせ・イライラ | 冷え・だるさ・不安 |
| 整えるコツ | 落ち着かせる | 温めて巡らせる |
面白いのが、陰陽は「陽がエライ!陰がダメ…」みたいな優劣じゃなくて、常にグルグル動いているということ。
冬の寒さ(陰)がマックスになれば必ず春の暖かさ(陽)がやってくるように、お互いに入れ替わりながらバランスを取っているんですね。
てっきり「陽の方が元気でヨイ」みたいなイメージでした!
さっきも言った通り優劣じゃなく、常にグルグル入れ替わってるのがポイントなんですよ。
五行思想——木・火・土・金・水、5要素の関係性
五行思想は、万物を「木・火・土・金・水」の5要素に分類し、お互いに影響し合いながら循環しているという考え方です。
この関係には2種類あります。
☯相生(そうせい)関係
木は火を、火は土を、土は金を、金は水を、水は木を生み出す「育てる」関係(親子みたいなイメージですね)
☯相剋(そうこく)関係
木は土を、土は水を、水は火を、火は金を、金は木を抑える「ブレーキ役」の関係!
漢方では、この5要素を体の五臓(肝・心・脾・肺・腎)にも当てはめます。
注意⚠️
※ここでいう五臓は、西洋医学の同名の臓器(肝臓・心臓など)とは異なる、東洋医学独自の機能的な概念です。混同しないようご注意ください!
てっきり「肝=肝臓のこと」だと思ってました。
東洋医学の「肝」は、肝臓の働きだけじゃなくて、気の巡りや感情のコントロールまで含む、もっと広い概念なのですよ。
木=肝、火=心、土=脾、金=肺、水=腎、という対応です。
一つの臓の調子が崩れると、相生・相剋の関係を通じてほかの臓にも連鎖的に影響する…というのが漢方的な体の見方なんです。
つまり陰陽五行説は、単なる「あなたは何タイプ?」診断じゃなくて、要素同士が生み出し合い・抑え合う「動くシステム」だということ!
これがわかると、スパイス選びの解像度がグッと上がりますよ。
スパイスはなぜ「食べる漢方」なのか?

キッチンや台所にあるそのスパイス…。実は、漢方薬局に並ぶ『生薬』と同じものなんですよ!
難しい漢方理論も、キッチンにあるこれらを起点にすると、意外と身近に感じられますよね。
漢方では、生薬(薬として使う天然由来の素材)と、毎日の食卓に並ぶ食材は地続きのものとして扱われるのです。
実際、シナモン(桂皮)は漢方処方の多くに配合される生薬ですし、クローブ(丁子)やジンジャー(生姜)も古くから生薬として使われてきました。(カレーやチャイに何気なく入っているあのスパイスたち…、実は立派な「生薬」だったんですねぇ)
スパイス&ハーブのプロ視点から補足させていただきますと、スパイスは香りの成分(精油)が強く、少量でも香りの印象を強く感じやすい食材です。
だからこそ古くから、香りや性質の違いによって「木・火・土・金・水」のどれに近いイメージかを分類し、暮らしに取り入れる知恵が育まれてきたんですねぇ。(シミジミ)
「五行」それぞれの個性と、ゆかりのスパイスたち
さて、ここからが本番!
木・火・土・金・水、それぞれの「五行」がどんなイメージを持ち、どんなスパイスと結びつけられてきたのかを見ていきましょう!
| 五行 | 対応する臓 | イメージ・性質 | ゆかりのスパイス | 東洋思想での位置づけ |
|---|---|---|---|---|
| 木 | 肝 | 伸びやかさ・成長・巡り | ジャスミン、サフラン | 気の巡りを司るとされ、香りが伸びやかさを連想させることから結びつけられてきた |
| 火 | 心 | 温かさ・情熱・上昇 | シナモン、カルダモン | 体を温める熱源のイメージと重ねられ、温性のスパイスが対応づけられてきた |
| 土 | 脾 | 安定・中心・受容 | クミン、フェンネル | 消化・吸収を司るとされ、胃腸を穏やかに支えるイメージのスパイスが結びつく |
| 金 | 肺 | 清らかさ・収れん・防御 | ジンジャー、クローブ | 体の防御バリアのイメージと重ねられ、清涼感・刺激のあるスパイスが対応づけられてきた |
| 水 | 腎 | 静けさ・貯蔵・持続力 | 黒胡椒、スターアニス | 生命力の貯蔵庫のイメージと重ねられ、深みのある香りのスパイスが結びつけられてきた |
※⚠️これらは、何千年もの間受け継がれてきた東洋思想における伝統的な分類・イメージの一例です。医薬品のような効能・効果を保証するものではなく、あくまで文化的な考え方の紹介です。体調が心配なときは、お医者さんや薬剤師さんに相談してくださいね。
相生・相剋で選ぶ、一歩進んだスパイスの組み合わせ技

迷ったらこの図に戻ってきてください。
スパイスの組み合わせのヒントがここに詰まっています!
五行の分類が分かったところで、次は「相生」「相剋」の関係性を使って、スパイスの組み合わせの考え方を見ていきましょう!
ここまでできたら、もう五行マスターです!先生です!(気が早いですかね?)
木(肝)と水(腎)は「相生」の関係。
水は木を生む関係なので、木のイメージのスパイス(ジャスミン等)と水のイメージのスパイス(黒胡椒等)は、相性の良い組み合わせと考えられてきました。
土(脾)と火(心)も「相生」の関係。
火は土を生む関係とされ、土のイメージのスパイス(クミン等)に、火のイメージのスパイス(シナモン)を軽く効かせる組み合わせは、伝統的に好相性とされてきました。
一方で、木と土は「相剋」の関係。
木は土を抑える関係とされるため、木のイメージのスパイスを土のイメージの料理に使いすぎるのは、伝統的にはバランスを崩しやすい組み合わせとされています。
摂りすぎず「ちょうど良いバランス」を意識するのが、この理論のいちばん大事なところなんです。
今日からできる!「五行スパイス」の食べ方

理論がわかったら、あとは食卓に落とし込むだけ!それぞれ、いつもの料理にひとつまみ足すイメージで試してみてください。(ひとつまみでいいの、ラクでしょ?)
●木タイプ(伸びやかさ・巡りを楽しみたい日に)
朝のジャスミンティーに、カレー粉をひとつまみ。香りが立つだけで、気分が伸びやかになる感覚を楽しめますよ。
●火タイプ(温かさ・ぬくもりを感じたい日に)
ホットミルクにシナモンパウダーをひと振り、カルダモンを1粒。寝る前に飲むと、じんわりとした温かさを感じられます。
●土タイプ(どっしり落ち着きたい日に)
スープや味噌汁にクミンシードを軽く炒って加えるだけ。フェンネルシードは食後にひとつまみ噛むのもおすすめ!
●金タイプ(清涼感・すっきり感を楽しみたい日に)
生姜湯にクローブを1〜2粒。すっきりとした後味を感じたいときの一杯にどうぞ。
●水タイプ(じっくり深みを味わいたい日に)
煮込み料理に黒胡椒を多めに。スターアニスはお茶や煮物にひとかけら加えるだけで、ぐっと深みが出ます。
たぬ先生おすすめ!今日から試せる五行スパイス5選
ここまでご紹介した「木・火・土・金・水」の代表スパイスを、実際に試してみたい方のために厳選しました!
まずは気になる一つから、今日の食卓に迎えてみてください。
①木|サフラン
パエリアやリゾットに少量加えるだけで、料理がぐっと特別な一皿に変わります。
伸びやかな「木」のイメージにぴったりの存在です。
②火|シナモン
体を内側からぽかぽかさせてくれる「火」のイメージそのままの、定番スパイスです。パウダータイプは使い勝手がよく、ドリンクに料理、お菓子作りと幅広く活躍してくれますよ。
③土|クミン
スープや炒め物にひとふりするだけで、ぐっと本格的な風味に。
油で炒めて香りをジックリ出す『テンパリング』して焼いた豚肉炒めが大好物です!
どっしり安定感のある「土」のイメージにふさわしい、キッチンの名脇役です。
④金|クローブ
スパイシーで清涼感のある香りが特徴。
生姜湯やチャイに加えると、キリッとした奥行きが生まれます。
気になる方はこちらもチェックしてみてくださいね。
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⑤水|黒胡椒
料理の味を引き締める、まさに万能選手。『スパイス王』!
深みと持続力を感じさせる「水」のイメージにぴったりです。
そうなんです。まったく難しく考える必要なんてないんです!
「今日はどの五行の気分かな?」と意識を向けて、いつものカレーやスープに、その五行に対応するスパイスをひとつまみだけ足す。
これこそが、陰陽五行説を日常で味わう一番シンプルで続けやすい方法なんです。
…とはいえ、「もっと体系的にジックリと学んでみたい!」という方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方向けに、独学の次のステップもご紹介しておきますね。
独学の壁を感じたら、通信講座という選択肢も!
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その香り、正しく保管できてます?スパイスの「衛生と安全」
どれだけ良いスパイスを選んでも、保管が悪ければ香りも風味も台無しになっちゃいます…。
『第二種衛生管理者』、そして『スパイス&ハーブ検定1級』の立場から、これだけは声を大にしてお伝えしておきます!
●徹底した密閉:香りは揮発性。スパイスに湿気は大敵です!密閉容器で冷暗所に保管してください。
●鮮度を見極める:大容量を買って放置するよりも、香りが活きているうちに使い切れる量を少量ずつ揃えるのが◎です!
●適量を守る:あくまで毎日の食事を支える「調和」の役割として楽しんでくださいね。バランスが大切です。
まとめ ~陰陽五行説は、自分を整えるための羅針盤~

陰陽五行説は、決して難しい修行なんかじゃありません。
木・火・土・金・水が生み出し合い、抑え合いながら調和を保つように、自然界も、そして私たちの日々の暮らしも、揺れ動きながらバランスを描いています。
その考え方をちょっとだけ覗かせてくれる窓が、キッチンにあるスパイスたちなんです。(すてき…!)
北極スパイスでは、これからもこの東洋思想の智慧を、専門用語のままじゃなく、誰にでも分かりやすく、そして楽しく食卓に翻訳して伝えていきます!
今夜の食事、まずは肩の力を抜いて、いつものスパイスをひとつまみ。
今のあなたは、どの五行の気分に近いですか?
ありがとうございました!
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監修:北極スパイス運営者(スパイス&ハーブ検定1級 / 第二種衛生管理者 / YMAA認証) ※本記事は伝統的な陰陽五行説・食養生の考え方を紹介するものであり、病気の診断・治療・予防を目的とした医学的助言ではありません。体調に不安がある場合は医師・薬剤師にご相談ください。
参考文献
【漢方・養生理論】
●川手鮎子 著『心も体もやさしくととのう 漢方養生の手帖』学研プラス, 2017年
●木村美紀 著、三本隆文 監修『皇帝の漢方薬図鑑』じほう, 2014年
●丁宗鐵 監修『はじめての漢方手帖』世界文化社, 2014年
●日本漢方養生学協会 監修『全改訂版 薬膳・漢方検定 公式テキスト』実業之日本社, 2021年
●メディアパル『はじめての漢方手帖』マーブルブックス 企画・編集, 2013年12月
【スパイス・ハーブの特性】
●スチュアート・ファリモンド 著、辻静雄料理教育研究所 監修『スパイスの科学大図鑑:香りの効果的な引き出し方や相性を徹底解明』誠文堂新光社, 2021年3月
●メディアパル『はじめてのハーブ手帖』エディング 企画・編集, 2013年6月
●やまねこ舎『ハーブ・スパイスの辞典』成美堂出版, 2013年