ピーキー・
夕暮れのバーミンガム、煙る路地裏。
シェルビー家のお気に入りは、『琥珀色に輝くウイスキー』
その香りは、彼らの喜びも、悲しみも知っている。
ギャリソンのバーカウンターに並ぶボトルたち。
各々が秘密を握り、夢と野心を映し出す。
一口飲めば、1920年代の空気が喉を通り抜ける。
『ピーキー・ブラインダーズと酒』
その魅力的な関係を、
(ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズの「Red Right Hand」 鐘が鳴った瞬間、「ウァー!」てなりますよね。)
『ピーキー・ブラインダーズ』の魅力はとても一言じゃ言い表せません!
そして酒…!!
『時代を駆け抜けた力強い生き様』や『社会背景』を象徴。
劇中、実にさまざまなお酒が登場します。(というか、酒の登場しない回ってないすね…!)
本記事を読むとわかること!
- 【ピーキー・ブラインダー・アイリッシュウィスキー】について!
- 【劇中に登場する6種類のお酒】について!
筆者紹介
レストラン&バーで修行して15年。イギリスはモッズ以外興味なかったですが、今ではバーミンガム大好きっ子に成長しました。
アーサーと「三男」ジョン、アベラマ・ゴールド、カーリーとゴリアテ、ルカ、ソロモンズ(あと犬)が好物です。(親父シェルビーも。)
もくじ
【ピーキーブラインダー・アイリッシュ・ウイスキー】
初っ端にご紹介するのが、こちら「ピーキーブラインダー・アイリッシュ・ウイスキー」
「ピーキーブラインダーズ」の世界観をボトルに封じ込めたオリジナルウイスキーです!
こちらはイギリス中西部の家族経営の伝統ある蒸留所、Sadler’sが手掛けるアイリッシュ・ウイスキー。
『1920年代のバーミンガム』を感じさせるスペシャルな逸品!
シェルビー家の持つ力強さとバランス感覚を体現するかのような、しっかりとした骨太の味わい、驚くほどの滑らかさを併せ持っています。
ウイスキー愛好家をも唸らせるSadler’sの魂の込もった一本!
…お手頃価格なのも素敵なんだぜ。(トミーばりの低音ボイス)
味の特徴と秘密
味わいは溶かしたチョコレートやアプリコットを感じさせ、フィニッシュにはシナモンが残る。
さらにシェリー樽で熟成することで、深みと甘みが増しています。
モルトとトースト、ナッツ、カシスとリンゴの香りが絶妙に絡み合い、口当たりはほんとにスムース!
サドラーズ独自のトリプルディスティレーション(3回蒸留)による滑らかなテクスチャー。
奥深い複雑さを際立たせています。
味わいのテクスチャーと料理ペアリング
要素 | 特徴 |
---|---|
香り | モルト、トースト、ナッツ、カシス、リンゴ |
味わい | リッチでスムーズ、シェリー樽の熟成で甘さ際立つ |
余韻 | 温かみのあるシナモンフィニッシュ、モルトとナッツの心地よい余韻 |
料理ペアリング | ローストビーフ, グリルしたサーモン, クリームチーズを使ったデザート, ナッツ入りのチョコレート |
ラベルデザイン
ラベルにも、1920年代のヴィンテージスタイルを取り入れており
トーマス・シェルビーを彷彿とさせるキャラクターが描かれています!
重厚感のあるガラスボトルは、インテリアとしても最適。(コレクションしても魅力的!)
(書斎のデスクに飾ると、とても素敵。一日の仕事のあとの一杯は格別…!また、ピーキー好きなあの人へのプレゼントにもおすすめです!バーボンもありますよ。)
ぜひグラスを傾け、その深い味わいに浸りながら、シェルビー家の壮大な物語に思いを馳せてみてください。
うまい…。(低音ボイス)
他のスピリッツ
Sadler’sは、ピーキーブラインダー・ウイスキー以外にも以下のスピリッツも展開してます。
- 「Spiced Dry Gin」
17世紀のジンクレイズ(狂気のジン時代)を思わせる熱狂。1920年代にイギリスで熱狂的に盛り上がったジンカクテル文化の反映 - 「Black Spiced Rum」
Sadler’sファミリーが実際に1920年代にパブで提供していたラムを完全再現
劇中に登場するアルコールの役割と背景
「ピーキーブラインダーズ」に登場するアルコールは単なる飲み物ではなく、
各キャラクターたちの心の内を表し、物語の進行を支える重要なアイテムなのです。
シェルビー家の象徴のようなウイスキー、禁酒法時代のジンなどは、登場人物たちの運命に影響を与え、時に彼らの野望や葛藤を映し出す鏡として印象的に登場。
ここからは、劇中に登場するアルコールの種類やその背景に迫り、物語に込められた深い意味を探ってみましょう!
お酒に注目して観ることで、更に物語を深く楽しむことができるようになりますよ!
暴れん坊代表、アーサーさん🍸️ (根は優しい譲り屋さん疑惑アリ)注ぎっぷり素敵!
ウイスキー:「強さと決断、リーダーシップの象徴」
ウイスキーの役割と背景
ウイスキーは「ピーキー・ブラインダーズ」で一番登場が多いアルコールです。
みんな大事な会議や話し合いの場でも景気よくグイグイ飲んでますね。
シーズン2では一家もアイリッシュ・ウィスキー輸出業やろうとしてましたしね。
ウィスキーは主人公である、トーマス・シェルビーが重要な決断を下す場面や、敵との緊張感漂う交渉時などに登場するお酒です。(まぁほぼ全話出てますけど…。)
その力強さと深みのある味わいはトミーの『冷静さと鋭い判断力、強さ』を象徴。
★ジョニーウォーカー・ブラックラベル
そんなシェルビー家の強さと品格を体現するウイスキーとしておすすめなのが
「ジョニーウォーカー・ブラックラベル(Johnnie Walker Black Label)」
12年以上熟成されたウイスキーをブレンドしており、そのリッチでスモーキーな味わいは、ビジネスの成功や決断の重みを象徴する一杯として最適です!(さすがに飲むのはお仕事終わってからで…。)
ジョニーウォーカー小話
- 黒ラベルは、当時からすでに上流階級のステータスシンボル!
- ブレンドウイスキーの中でも、そのバランスの取れた風味と深いコクが特に評価されており、世界中のリーダーたちから愛されてます。
- 特徴的な斜めラベルは、他のウイスキーボトルと一線を画すためのアイデアとして生まれたもの!ブランドの強いアイデンティティを築き上げました。
- 関係ないですけど、村上春樹の「海辺のカフカ」にも登場。
★ブッシュミルズ アイリッシュウィスキー
歴史あるアイリッシュ・ウィスキー。(これこそトミーたちが愛飲している可能性高し!)
1608年創業とも言われ、現在操業中のアイリッシュウイスキー蒸溜所の中では最古の歴史を誇る蒸溜所。
アイリッシュウイスキー伝統の3回蒸溜を守りつつ、アイリッシュウイスキーで一般的に使用される未発芽の麦は使用せず、ノンピート麦芽100%のモルト原酒にこだわっています。
ブッシュミルズのスタンダード商品。3回蒸溜をしたモルト原酒と軽やかなグレーン原酒をブレンド。
スムースな口当たりとフレッシュな果実の様な味わいです。
インスパイアウィスキー「Prohibition Recipe」
そして、Bushmillsが提供している「Prohibition Recipe」ウィスキーもご紹介しておきますね。
なんと、ピーキーブラインダーズのドラマにインスパイアされ作られました!
「1920年代の禁酒法時代を思わせるような強烈で複雑な味わいを完全再現」
トミーが好むような、濃厚で力強いウィスキーを楽しめる限定リリース商品。
(ほしいですよねー。飲んでみたい…。いつか手に入れて飾りたいです。)
※詳細な情報については、こちらの公式サイトからも確認できますよ。
Bushmills Prohibition Recipe - Peaky Blinders (Bushmills Irish Whiskey) (Bushmills Irish Whiskey)。
ジン:「支配する街」と活気
ジンの役割と背景
ジンといったら「深い悲しみを忘れさせてくれる酒」として有名。
(トミーが自分でジュニパーベリーやジャガイモなど材料集め、せっせとジン作りに励んでいたのが印象的ですね。「こりゃ、甘すぎる。」女性向け?なんか不発でしたね…。一生懸命作ったんだから感想言ってあげてよ!)
シェルビー家が所有する酒場『ギャリソン』でも提供されていて、イギリスの労働者たちに親しまれていたお酒です。
シェルビー家の影響力が拡大するにつれて、彼らが支配する街、バーミンガムの活気や繁栄を象徴。
『ギャリソン』でメイがトミーに飲み物聞かれてジンを頼むシーンもステキ。
グラスいっぱい、なみなみと注がれたストレートのジン。
メイが「さすがに割りたいわい」と頼むとトミーがジンに更に「コーディアル」をプラス。
さらになみなみに。(すてき!)
(※コーディアル…ハーブや果物をシロップに漬け込んで作る強壮剤みたいな飲み物。シロップの代わりにアルコールで作ってリキュール状にする場合も。)
★プリマス・ジン
当時、イギリスで特に人気があったのがプリマス・ジン(Plymouth Gin)
プリマス・ジンは、他のロンドン・ドライ・ジンよりもマイルドでバランスの取れた風味が特徴。
プリマスジン小話
プリマス・ジンは、イギリス海軍とも深い関わりがあるんですよ。
イギリス海軍は、伝統的にプリマス・ジンを船上で常備し、「ネイビーストレングス」と呼ばれる57%の高アルコール度数のジンが特に有名。
(これは、ジンが火薬と混ざっても引火しないため、船上でも安全に保管できるから、海軍での標準仕様となっていたんです!)
現在でもプリマス・ジンは、その伝統と共にジンのスタンダードとして、多くのバーテンダーに愛されています。
スタウトビール:バーミンガムの苦みとファミリーの闇
ビールの役割と背景
スタウトビールは、シェルビー家の暗く重い過去や、彼らが生き抜いてきた厳しい現実を反映する飲み物として登場。
ギネスのようなスタウトビールは、その濃厚な味わいと高いアルコール度数で、シェルビー家の複雑な内面や暗い秘密を象徴。
大事な作戦の開始直前、トミーが仲間たちに忠告します。
『今、酒を飲むなら、スタウトビールで我慢しとけ!』
いや!の、飲むのかよー!(ニッコリポイントですね。)
(ビールは他のアルコールに比べて『優しい』感じで描かれることが多いですね。)
★ギネスビール
スタウトビールの代表的な銘柄としては、ギネス(Guinness)が挙げられます。
ギネスは、ダークチョコレートやコーヒーのような風味が特徴で、シェルビー家の内面の苦さや深さを象徴するようなビールです。
ギネスビール小話
- 1759年にアーサー・ギネスによってダブリンのセント・ジェームズ・ゲート醸造所で初めて醸造。
- 独特の味わいは、焙煎した大麦によるもので、その苦味とリッチなテクスチャーは多くの人々を魅了。
- ギネスは「ビールの中のワイン」とも称され、その味わいの複雑さから食事と合わせるペアリングにも注目されてます。
- ギネスの泡は、正しい注ぎ方を守ることで最高の質感が生まれるとされ、バーテンダーの腕の見せ所!
- 泡でラテアートのようにギネスのトレードマークの『四葉のクローバー』作ってくれるお店もあるんですよ。ハッピー。
シャンパン:成功と栄華を讃える
シャンパンの役割と背景
シャンパンは、成功を収めた際や祝い事に登場することが多く、栄光と贅沢を象徴。
シェルビー家が新たなビジネスを成功させたときや、敵を打ち負かした後の祝賀会でシャンパンが開けられるシーンは、彼らの栄光の瞬間を強調します。
(モーズリーは毎回「シャンパン」。)
ファーストシーズンのラスト、ギャリソンでトミーがファミリーで『グレースのシャンパン』を開け、大勝を祝うシーン。(好きです)
★モエ・エ・シャンドン
シャンパンの中でも特に人気があったのがモエ・エ・シャンドン(Moët & Chandon)
モエ・エ・シャンドンは、フルーティーで爽やかな味わいが特徴で、シェルビー家の成功を祝うシーンにぴったりの一杯です。ポリーな感じですね。
(日本では、モエ=ゴージャス! ザ・シャンパン! として根強い人気を誇り、その「イメージ」が現代でも根強い気がします。あと「キラークィーン」の歌詞にも登場しますね!)
モエ・エ・シャンドン小話
モエ・エ・シャンドンは、フランスのシャンパーニュ地方で1743年に設立され、ナポレオン・ボナパルトを始めとする多くの歴史的な人物に愛されてきました。
ナポレオンは、戦勝後に必ずモエ・エ・シャンドンを開け、祝杯を挙げるのが習慣であったと言われています。歴史!
アブサン:危険と芸術の狭間
アブサンの役割と背景
アブサンは、トミーが特にストレスを感じる場面や、危険な状況に直面した際に飲むシーンが印象的な非常に強いスピリッツです。【緑の妖精、緑の悪魔、魔性の酒】などと呼ばれています。
その妖しい緑色は、トーマスの混沌とした内面や危険な魅力を象徴しているかのよう。
★ペルノ
当時のアブサンの中でも特に有名だったのがペルノ(Pernod)
ペルノは強烈なアニスの香りとハーブの風味を持ち、危険な魅力を持つスピリッツとしてシェルビーの内面の複雑さを映し出します。
アブサン小話
アブサンは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、フランスの芸術家や作家たちに愛されました。
特に、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホやポール・ヴェルレーヌなどがアブサンを好んで飲んでいたことが知られています。
アブサンの飲み方には独自の儀式があり、水で薄める際に専用のスプーンと角砂糖を使用します。
「アブサン」についてはこちらもどうぞ☞
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ラム:「暗黒の取引と謎めいた過去」
ラムの役割と背景
ラムといったら「アルフィー・ソロモンズ」。(不死身のパン屋さんとして有名ですね。メガネ愛好家。)
「茶色」選ぶと労働者。「白色」選ぶとアッパークラス。そんなトンチの効いたラムを手掛ける神パン屋さん。
印象的なシーンとしては
ソロモンズの隠れ家(パン屋)にトミーが「爆弾仕掛けたったで。」と靴紐結んでハッタリ。
ギリギリの駆け引きがほっこりポイントです。(100%は攻めすぎ!聞き間違いかと思いましたよ。)
トミーの『ラムはよく燃えるから。はよせんと、火がついて全滅しちゃうよ!クリスマス!』そんなお酒です。
(あと海賊が愛してます。カリブの。)
★ディプロマティコ・リザーブア・エクスクルーシバ
おすすめラムは「ディプロマティコ・リザーブア・エクスクルーシバ(Diplomático Reserva Exclusiva)」です!
このラムは、ベネズエラ産で、12年以上の熟成を経たリッチで複雑な味わいが特徴。
プレミアムラムとして世界中で高い評価を受けています。
バニラ、トフィー、キャラメルの濃厚な香りとスムーズな口当たりが、シェルビー家の深みと重なる一杯。
ディプロマティコ小話
糖蜜から作られ、オーク樽で最低12年間熟成されることで、豊かなバニラ、カラメル、トフィー、そしてフルーツの風味が際立ち、その複雑で深みのある味わいは、ラム初心者から上級者まで幅広く愛されています。まるで、ベネズエラの太陽!
この「ディプロマティコ」は、アントニオ・ペレス・ド・マイラにちなんで名付けられました。
彼は、19世紀に実在したスペインの外交官であり、ラテンアメリカで大きな影響力を持っていました。
この名前には、品位と高貴さ、そして深い歴史的背景が込められています。
単体で飲むだけでなく、デザートのペアリングやカクテルのベースとしても最適です。
特に、チョコレートやナッツと相性が抜群!
ピーキーブラインダーズ見ながらゆっくり贅沢なひとときをどうぞ!
おわりに
ピーキーブラインダーズ観ながら飲むお酒(特にウィスキー!)ほんと美味しいです。至福。
(観たあとは、歩く時にかっこよく肩切りながら歩こうと意識しちゃいますね。)
どのお酒も、ピーキーブラインダーズのダークで複雑で深い物語にぴったりと寄り添う存在。
時代背景を持つお酒は、知れば知るほど美味しくなって、さらにドラマに深みを与えてくれます。
今夜は、手元にトミーやジョン(!)が飲んだかもしれない極上の一杯を用意し、お部屋でしっとり飲むもヨシ。
友達誘ってニック・ケイヴの「レッドライトハンド」やアークティック・モンキーズ、ホワイト・ストライプス流しながら、みんなでピーキーな世界に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
(ドラマ ピーキーブラインダーズはシーズン1~6までNetflixで観れますので未見の方はぜひ!)
そして2025年?映画で完結する壮大な物語。
ぜひ、じっくりと浸ってみて下さいね。
モデルとなった組織について気になった方はコチラもどうぞ(参照:ピーキーブラインダーズ Wikipedia )
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!!
参考文献
●株式会社柴田書店出版 福西英三 花崎一夫 山崎正信 著「新版 バーテンダーズマニュアル」,株式会社柴田書店,2008年5月