
「病院の検査では異常なしって言われたのに、なんだか体がだるい…」
「季節の変わり目に、いつも同じような不調がやってくる…」
そんな経験、ありませんか?
こんにちは!大人気アニメ『薬屋のひとりごと』にドはまり中のマーです。
前回、物語の背景にある思想として「陰陽五行説」をご紹介しましたが、今回はその実践編です。
実際に処方される「漢方薬」そのものに焦点を当てて、基本のキから解説していきます!
筆者紹介
🌶️スパイス&ハーブ検定1級ホルダー
🍺レストラン&バーで修行して15年
☯先日『薬膳・漢方検定』を受けました!100問ありましたが…自信あります!(結果は10月下旬)
『効き方の仕組みと理由』詳しく教えて!たぬ先生!
この記事でワカルこと!
☯漢方薬と西洋薬、何がどう違うのか
⇒成分の考え方から、なぜ効き方が違うのかまでスッキリ整理できます。
☯自分の体質を見極める「証」というものさし
⇒虚実・寒熱・気血水という3つの視点で、自分の体調タイプを捉えられるようになります。
☯漢方薬を安全に取り入れる方法
⇒飲むタイミングや、注意すべきケースまでバッチリ!
漢方薬ってそもそも何?西洋薬との違い

漢方薬は、自然の植物・動物・鉱物などから作られる「生薬」を、複数組み合わせて作られる薬です。
多くの生薬は60度以下で乾燥させたあと、粉砕したり蒸留したりといった、比較的シンプルな加工だけで用いられます。
これって、西洋薬とはけっこう発想が違うんですよ。
| 比較項目 | 西洋薬 | 漢方薬 |
| 主な成分 | 主に単一の有効成分 | 複数の生薬の組み合わせ |
| 得意なこと | 特定の症状や原因にピンポイントで作用 | 体全体のバランスを整え、複数の症状に幅広くアプローチ |
| 効き方 | 比較的はっきりスピーディーに出やすい | 穏やかに働きかけ、体質や根本からの改善を目指す |
| アプローチ | 病名やピンポイントの原因を狙う | 心身全体の調子(気・血・水など)を整える |
| 副作用 | 効果が強い分、副作用が出やすい場合もある | 比較的少なめとされるが、体質に合わない場合は注意が必要 |
漢方薬は「全体のチームワークを整える」
—そんなイメージが分かりやすいかもしれませんね。
だから検査で異常が出なくても、漢方だと対応できることがあるんですね。
検査数値には出にくいけど本人はしんどい…。
という西洋医学が苦手とするグレーゾーンにこそ、漢方は強みを発揮しやすいんです。
💥ただし油断は禁物!副作用や、他の薬との飲み合わせに注意すべき漢方薬もあります。
⚠️たとえば小柴胡湯という処方は、インターフェロン製剤との併用が禁忌とされていて、間質性肺炎のリスクが指摘されています。
持病があって薬を服用中の方は、自己判断せず専門家に相談してくださいね。
中国生まれ、日本育ちの医学—漢方医学の歴史

「漢方」というと中国のイメージが強いかもしれませんが、実はこれ、日本で独自に発展してきた医学なんです!(わたしもズッと勘違いしていました…!)
ルーツをたどると、紀元前後の中国で生まれた中国伝統医学に行き着きます。
これが5〜6世紀ごろに日本へ伝わり、当初は中国のスタイルがそのまま実践されていました。
そこから室町〜江戸時代にかけて日本独自の進化が始まります。
●後世方派:江戸時代中期に生まれた、理論を重んじる一派
●古方派:江戸時代後期に生まれた、より実践的な一派(現在の主流はこちらの系譜)
じゃあ今わたしたちが「漢方薬」って呼んでるものは…
中国の漢方医学とは別物ってことですか?
どちらもルーツは同じ中国医学。
ですが、日本の風土や体質に合わせて、日本漢方医学として独自に磨かれてきた、というのが正確なところなんですね。
明治時代に入ると西洋医学に基づく医師免許制度が整い、漢方は一時勢いを失います。
…しかし、時は流れ昭和。生薬が薬価基準に収載されると再評価が進み、1960年代には漢方エキス製剤の普及とともに医療現場での使用が広がりました。
「証」というものさしを知ろう!

漢方には、その人の体質や体調のタイプを見極める「証(しょう)」という独自のものさしがあります。
同じ「冷え」や「疲れ」でも、証が違えば選ぶべき漢方薬も変わってくるんです。
ここでは代表的な3つの見方をご紹介!
「虚・実」による体質・タイプの違い
漢方では、その人の持っている体力やエネルギーの状態を大きく「虚(きょ)」と「実(じつ)」の2つに分けて捉えます。
| 比較項目 | 虚(きょ)タイプ | 実(じつ)タイプ |
| 体力・エネルギー | 不足している(疲れやすい) | 有り余っている(エネルギッシュ) |
| 病気への抵抗力 | 弱い | 強い |
| 顔色・印象 | 悪い、または小さく見えがち | 良い、または大きくはつらつとした印象 |
| 声のトーン・大きさ | 小さめ、控えめ | 大きめ、しっかりしている |
| 体格の傾向 | 痩せ型、華奢 | がっしり型、筋肉質 |
※なお、どちらか一方にキッチリ分かれるわけではなく、両者の中間にあたる「中間証(ちゅうかんしょう)」に該当する方も多くいます。
漢方薬を選ぶうえで、この「虚・実」のどちらに当てはまるかを知ることはとても大切です。
例えば、同じような症状であっても、体力がある「実証」の方に向けたお薬を、体力が低下している「虚証」の方が飲んでしまうと、かえって体に負担がかかってしまうことがあります。
そのため、ご自身のいまの体力がどの状態にあるのかを把握することが、不調を根本から改善するための第一歩になります。
「寒証・熱証」による体質・タイプの違い
漢方では、体力のバロメーターである「虚・実」と並んで、体が「冷えやすいか・熱がこもりやすいか」を表す「寒証(かんしょう)」と「熱証(ねっしょう)」という見方もとても大切です。
| 比較項目 | 寒証(かんしょう)タイプ | 熱証(ねっしょう)タイプ |
| 特徴 | 体内で熱を作る力が乏しく、冷えやすい | 体内に熱がこもりやすく、暑がり |
| 感じやすい症状 | 寒気、冷え、悪寒、震えなど | ほてり、のぼせ、イライラ感など |
| 顔色・肌の傾向 | 青白い、血色があまり良くない印象 | 赤みがかっている、充血しやすい |
| 好むもの・環境 | 温かい飲み物や、体を温めること | 冷たい飲み物や、涼しい場所 |
※「虚・実」と同様に、どちらか一方だけでなく、両者の中間にあたるタイプの方も多くいらっしゃいます。
同じ体温でも、寒がりな人と暑がりな人がいますよね。それと同じ発想です。
それでは、次のチェックリストを使って、ご自身のタイプを確認してみましょう!
今のあなたはどっち?証タイプ診断
あなたの「証」タイプ
セルフチェック
虚実・寒熱の傾向から、今のあなたの体質タイプをチェックします。ボタンを押してスタート!
タップ式のかんたん診断です。
所要時間は1〜2分ほどで完了します。

【 虚証の傾向 】
【 実証の傾向 】
【 寒証の傾向 】
【 熱証の傾向 】
すべての質問に回答すると結果が見られます
YOUR TYPE
―

※このチェックは伝統的な漢方の考え方をもとにした簡易的な目安であり、医学的な診断ではありません。体調に不安がある場合や、漢方薬の使用を検討する場合は、医師・薬剤師にご相談ください。
漢方には、体力が不足している「虚証」の人には不足を補う「補法(ほほう)」、体力が有り余っている「実証」の人には過剰なものを抑える「瀉法(しゃほう)」というように、証に応じて真逆のアプローチをとるという考え方があります。
同じ「疲れ」という症状でも、虚証の人と実証の人では、そもそも体に対する働きかけの方向性が違う。
だからこそ、証を知らずに漢方薬を選ぶと、体質に合わないものを選んでしまうリスクがあるんですね。
気・血・水 —体をめぐる3要素
漢方では、私たちの体は「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という3つの要素が巡ることで、健康な状態が保たれていると考えます。
| 要素 | 主な役割 |
| 気(き) | 目に見えないが、体を元気に動かすための生命エネルギー |
| 血(けつ) | 全身のすみずみまで酸素や栄養を届ける血液(およびその働き) |
| 水(すい) | 血液以外の水分で、体を潤し、汗や尿などとしてバランスを保つ体液 |
これら3つの要素が「不足したり」「過剰になったり」「流れが滞ったり」することで、さまざまな不調やバランスの乱れが生じてしまいます。 …というのが漢方の基本的な発想。
漢方薬は、この巡りのバランスを整える役割を担っています。
陰陽五行説の「気」の話ともつながってきますね。
実際、気血水の考え方は陰陽五行説の延長線上にあります。
\前回の記事とあわせて読むと、理解がグッと深まりますよ!/
👉️陰陽五行説×スパイス活用術!東洋思想から読み解く「食べる漢方」の世界
-
-
陰陽五行説×スパイス活用術!東洋思想から読み解く「食べる漢方」の世界
「最近、なんとなく体がダルくて重い…」「季節の変わり目、いつもなにかしら不調…」 そんな経験、ありませんか? こんにちは!大人気アニメ『薬屋のひとりごと』に絶賛ドはまり中のマ-です。 『薬屋のひとりご ...
あなたはどのタイプ?証タイプ別・今日からの養生ヒント

セルフチェックで自分の傾向がなんとなく見えてきたら、次はタイプに合わせた過ごし方のヒントです💡
を、タイプ別にサクッとまとめました。
| タイプ | 過ごし方のヒント | よく話題にのぼる処方の例 |
| 虚証(きょしょう) | • 無理をせず、消化に良いものをゆっくり食べる • 体力を消耗する激しい運動は避け、軽いストレッチ程度に | 補中益気湯 (ほちゅうえっきとう) |
| 実証(じっしょう) | • 発散させる運動や入浴でしっかりと巡りを良くする • 食べ過ぎ・飲み過ぎには日頃から注意する | 大柴胡湯 (だいさいことう) |
| 寒証(かんしょう) | • 生姜や根菜など、体を内側から温める食材を意識する • 冷たい飲食物はできるだけ控えめにする | 当帰四逆加呉茱萸生姜湯 (とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう) |
| 熱証(ねっしょう) | • 辛味の強いものや脂っこい揚げ物は控えめにする • のぼせを感じたら首元などを冷やし、こもった熱を逃がす | 黄連解毒湯 (おうれんげどくとう) |
※漢方薬を選ぶ際は、ご自身の体質やそのときの状態に合っていることがとても大切です。気になる症状がある場合は、専門家に相談しながら取り入れてみてくださいね。
風邪のときによく聞く「葛根湯」はどのタイプなの?
葛根湯は、体力が比較的ある人(実証寄り)が、寒気を感じるひきはじめの風邪に使われることが多い処方として知られています。
同じ「風邪っぽい」でも、虚証の人には別の処方が向くとされることもあるんです。
これも「証」で考える面白さの一つです!
漢方薬を飲むタイミングと注意点
せっかく自分に合う漢方薬を選べても、飲み方を間違えると本来の力を発揮できません。
基本のルールを押さえておきましょう。
💊食前(食事の30分前)または食間(食後およそ2時間)に飲むのが基本
空腹に近い状態のほうが吸収が良いとされているためです。ただし、胃が弱い方や吐き気を感じやすい方は、食後に切り替えても問題ありません。
💊病院の漢方薬とドラッグストアの漢方薬は「同じ」ではない
どちらも同じ生薬から作られていますが、病院で医師に処方してもらう「医療用漢方製剤」と、薬局・ドラッグストアで買える「一般用漢方製剤」とでは、含まれる生薬エキスの量が異なる場合があります。
一般的に、一般用のほうが含有量が少なめに設定されていることが多いため、「病院で出された薬と同じ名前だから」と自己判断で市販薬に切り替えるのは避け、疑問がある場合は医師や薬剤師に確認するのがおすすめです!
💊小児・妊婦・授乳婦は要注意
使える漢方薬の種類や量に制限があります。
生薬の中にはダイオウやセンナのように母乳へ移行する可能性があるものもあるため、授乳中は使用の可否を事前に確認しましょう。
実際、どれくらいで効果を感じるものなんですか?
体質改善を目的とする場合は、数週間〜数ヶ月単位でじっくり向き合うことが多いです。
ただし葛根湯のように、風邪の引きはじめなど急性の症状に使うものは、比較的早く効果を感じるケースもあります。
「漢方=全部ゆっくり」というわけではなく、証や処方の目的によって効き方のスピードも変わる、というのがポイントです💡
また、漢方薬はドラッグストアなどでも手軽に購入できますが、「自然由来だから安全」と思い込むのは禁物!
生薬が体質に合わないと、下痢や胃もたれ、発疹などの体調変化が出るケースもあります。
また、複数の漢方薬を自己判断で併用したり、他の薬と一緒に飲んだりすると、意図しない作用が出ることもあるため注意が必要ですよ。
漢方の世界を、物語でも味わうなら!
理屈で学ぶのもいいけれど、物語の中で漢方に触れると、また違った面白さがありますよね。
冒頭でも触れた『薬屋のひとりごと』、まさに生薬や漢方の知識が謎解きの鍵になる作品です。
今回ご紹介した「証」の考え方を頭の片隅に置きながら見返すと、猫猫(マオマオ)のセリフの見え方がちょっと変わってくるかもしれません。
薬屋のひとりごと
📺️まだアニメを観たことがない方、実はAmazonプライム・ビデオで1期・2期とも全話見放題です(30日間無料トライアルあり)。
ちなみにわたし、スデに2周目突入しております!
※配信状況は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。
\今すぐ無料でイッキ見する/
(ᐢ⓿ᴥ⓿ᐢ)🌿
独学の壁を感じたら、通信講座という選択肢も!
独学のしんどさについては、以前の記事でも少し触れました。体系立てて学びたい方には、SARAスクールジャパンの漢方薬膳資格取得講座もおすすめです。
カリキュラムと添削課題が最初から用意されているので、独学特有の「知識がバラバラのまま積み上がるモヤモヤ」が起きにくいのが魅力。
1日30分のスキマ時間から始められます。
詳しくは前回の記事でも紹介しています!
👉️漢方のおすすめ本10選+独学がしんどい人への処方箋【体験談アリ】
\✨️無料資料請求でカリキュラムや体験談を確認してみる✨️/
薬膳資格を簡単に取得できる人気の通信講座【SARAスクール】まとめ ~漢方は、自分の体と対話するための道具~

漢方薬は、単なる「じわじわ効く優しい薬」ではありません。
そもそも「養生」とは、病気になってから治すのではなく、日々の生活の中で不調を未然に防ぎ、体のバランスを整えていく習慣のことを指します。
虚実・寒熱・気血水という独自のものさしで自分の体をよく観察し、そのときの自分に合ったバランスの整え方を選ぶ。そんな対話の道具だと言えます。
検査数値には表れない「なんとなくの不調」に寄り添えるのも、この考え方があるからこそ!
今のあなたは、虚と実、寒と熱、どちらに近いでしょうか?
おすすめ記事💡
今回ご紹介した「証」の考え方の土台には、東洋思想である陰陽五行説があります。
あわせて読むと理解がさらに深まりますよ。
▶陰陽五行説×スパイス活用術!東洋思想から読み解く「食べる漢方」の世界
監修
北極スパイス運営者(スパイス&ハーブ検定1級 / 第二種衛生管理者 / YMAA認証)
※本記事は伝統的な漢方の考え方を紹介するものであり、病気の診断・治療・予防を目的とした医学的助言ではありません。
体調に不安がある場合や、薬を服用中の場合は医師・薬剤師にご相談ください。
参考文献
●木村美紀 著、三本隆文 監修『皇帝の漢方薬図鑑』じほう, 2014年
●川手鮎子 著『心も体もやさしくととのう 漢方養生の手帖』学研プラス, 2017年
●丁宗鐵 監修『はじめての漢方手帖』世界文化社, 2014年
●日本漢方養生学協会 監修『全改訂版 薬膳・漢方検定 公式テキスト』実業之日本社, 2021年
●メディアパル『はじめての漢方手帖』マーブルブックス 企画・編集, 2013年12月