【危ない詩人世界代表】
『チャールズ・ブコウスキー』をご存知でしょうか?
彼の異名は多岐にわたり…
『天才詩人』、『アル中』、『女たらし』の『博打打ち』、『アウトロー』、『無骨者』、『しみったれ』、『自由人ののらくら者』etc…
やたらとヒドイ、実にたくさの危険な異名が並ぶ彼。気になる。
怪しく魅力的な酒詩人「ブコウスキー」
今回は彼について紹介していきます!
筆者紹介
レストラン&バーテン歴15年!好きな作家は『ドストエフスキー』、『村上春樹』、『村上龍』、『町田康』、『サン=テグジュペリ』、『トーベヤンソン』。おっ、あれ?ブコウスキーは?
ブコウスキーとは
ブコウスキーには作家志望があった。
しかし何十年も必死に書いたものは全て却下。
出版社からは『お粗末で下品。とにかく悪趣味。』との評価。
出版社からの断りのハガキが山となり、絶望的な挫折感から彼は酒浸りの日々に。
そんな屈折した状態のまま彼は大半の人生を酒と共に過ごしました。
そんな彼にも本業が。
それは郵便局の仕分け係。
少ない給料は全て酒代。残りは馬券代に。
夜は孤独に1人酒を飲み飲みタイプライターで詩を打ち出す。ほとんどは酔いつぶれ、床で目を覚ます毎日。
こんな調子でまさかの30年もの月日が過ぎ。
30年のほとんどが酒と博打、女に明け暮れ流れた無意味な日々。
ところが50歳近くになり、小さな出版社がブコウスキーに興味を持ちます。
ここで働くある編集者はこの酒飲みブコウスキーに謎の愛着を感じました。
お金が稼げる確証もなかったが、彼の妙なパワーを感じて賭けることに。
ブコウスキーにとって生まれて初めてのチャンス。彼は編集長にこう答えた。
『俺は、2つの選択ができる。一つはこのまま郵便局で働き続け頭が変になるか、作家の真似事して餓死するかだ。…俺は餓死することに決めたよ。』
契約書にサインすると彼はなんと三週間で一作目の長編小説を仕上げる。タイトルは『ポストオフィス』。賛辞は『誰にも捧げない。』!
その後、彼は小説家、詩人として名を馳せる。
長編小説を6作。数百千の詩を世に出し売り上げはなんと200万部を超える。
こんな人気は誰も予想しなかったし、ブコウスキー本人も予想していなかった。
彼の人生はアメリカドリームを体現。
【欲しいもののために戦い、決して諦めず、最後は勝つ】
この話を聞いたとき、みなさん思うはず。
『すげぇ!アル中なんかじゃないや!やっぱ最後まで彼は闘ったんすよ!負けそうな時でも!諦めず、めげずに頑張ったんだな!そして、最後は勝った!』
でも、彼の墓石には『【don’t try】=がんばるな。』と刻まれている。
あれ?
つまりは、小説や詩が売れようと名声を得ようとも彼は負け犬だった。
これは本人が1番思っていたこと。
彼が成功したのは『勝つ!』と決めていたからではなく、自分は『負けてる…』と自覚していたこと。
そしてそれを受け入れた上で『正直』につずったから。
他の何かになろう!としたのではなくひたすらに
『自分』であり続けた。
それは誰しも認めたくない『弱い自分』。すらも正直に。
ためらわず、迷わずに失敗を語れたこと、『自分でいる』ということができた、それが彼の才能。
『自身に正直である』ということの難しさ、やり遂げた(最期まで)という事実そのものが彼の凄さです。
彼の小説や詩はほとんどが自身の経験からということなので正直ブルッチまいます…。正直こわい!かっこいいけど怖い!
でもなんだか『生きる勇気』をくれたり、荒さの中に『優しさ』や『思い遣り』も感じられるのです。…不思議。
お酒にまつわる怖さ、危うさ、面白さ、がたくさん詰まった彼の人生。
ブコウスキーおすすめ3選
●町でいちばんの美女
『ブコウスキー』ならまずこれ!内容は『ブコウスキー』。
●パルプ
パルプは「安っぽい」みたいな意味あい。死の直前に仕上げられた。1番好きなブコウスキー本。
●勝手に生きろ
彼の生き方をフォーマットにした作品。潔いくらい『ブコウスキー』。
まとめ
『無頼派、無骨な酒飲み詩人』
なんだか【凄み】…感じますね。
興味深いアウトローの頭の中見れます。
読んだ後は、世の中の見え方もちょっと変わったり。
人生の困難に立ち向かう勇気をくれる、そんな不思議な詩人のご紹介でした!ʕ⁎̯͡⁎ʔ༄!
(お酒は楽しくほどほどに。)
おまけ
「なぜ、酒なんかのむの?」と、王子さまはたずねました。
「忘れたいからさ」と、呑み助は答えました。
「忘れるって、なにをさ?」と、王子さまは、気のどくになりだして、ききました。
「はずかしいのを忘れるんだよ」と、呑み助は伏し目になってうちあけました。
はずかしいって、なにが?」と、王子さまは、あいての気もちをひきたてるつもりになって、ききました。
「酒のむのが、はずかしいんだよ」というなり、呑み助は、だまりこくってしまいました。そこで、王子さまは、当惑して、そこを立ち去りました。おとなって、とっても、とってもおかしいんだなあ、と、王子さまは、旅をつづけながら考えていました。(サン・テグジュペリ 星のおうじ様12編より)
おとなっておかしいんだな。
ドント・トライ!